21世紀の科学の楽しみ方。ムー×ニュートン=ムートン会と理系×お笑いナイトトーク=理系ナイト

By | 2015/08/01

”科学”を凝り固まったイメージで捉え続けてはいけない、というお話。

数年前、昭和中期に書かれた”2061年の東京”というイラストをご存知だろうか(1961に発行されたため中途半端な年になっている)。

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そこには当時存在し得なかった科学技術が描かれている。画像からは動く歩道、街頭テレビ、室内野球場などが見られるが、これらは今の世の中には当たり前のように存在している。ちなみに室内野球場に関してはこの雑誌の発刊後わずか4年後の1965年にアメリカにて誕生しているのだ。

そう、これは私たちが”存在しない”と思っているものがある日、実際に作られてしまうかもしれない可能性を秘めた分かりやすい事実ではなかろうか。

”科学は正しいもの”というイメージがあるかもしれないが、それを取り巻くものが必ずしも正しくある必要はない。むしろ正しくない、といって排除する事は悪だと思う。本来は厳格である必要もなく、むしろもっと自由であるべきだ。

だいぶ前置きが長くなってしまったが、この考え方を改めて強く感じた出来事をまとめておきたい。2015年7月に参加した2つのイベントだ。

・ムー×ニュートン=ムートン会?

7月のはじめ。とんでもない組み合わせのイベントが開催された。分かる人にはこのタイトルを見ただけでヤバさが伝わるだろう(どの程度の人にこのヤバさが伝わるのかは分からないが、より多くの人に届くように私はこの記事を書いているつもりだ)。

きっとこのイベントに参加した翌日にこの記事を書き起こしていたらきっと勢いだけで書き続けてしまったかもしれないが、ここはちょっと冷静に丁寧に説明を加えていきたいと思う。

雑誌『ムー』をご存知だろうか。”世界の謎と不思議に挑戦する”を掲げた超科学雑誌だ(wikipediaには”オカルト雑誌”と記載されているが、ここでは”超科学雑誌”で押し通したいと思う)。UFOから超古代文明まで幅広く扱う、1979年創刊の歴史のある雑誌である。一つの説の真相を様々な角度で切り開いていく特集ページでは、ページを開くたびに「その視点で来たか!」と感動せざるを得ない。

そして科学雑誌『Newton』はもしかしたら表紙を見れば「見た事ある」という人は多いのかもしれない。赤色を基調として銀色の”Newton”の文字。真ん中にはその月の特集をイメージとした写真もしくはイラストが描かれている。毎月の特集は比較的直近で話題になっているテーマを取り上げる事も多く、”わかりやすくイメージしやすく”情報を届けてくれる。ちなみにこちらも歴史があり、ムーよりも2年ほど遅い1981年に創刊されている。

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さて、ここまでの説明でなんとなく分かってきたのではないのだろうか。ムートン会とは、この2雑誌のコラボレーションが起きてしまったイベントだ。両雑誌の編集部の人がゲストとしてトークショーを繰り広げた。

Newton側からは「どこまで信じて作られていますか」という質問が飛び会場は笑いの渦に。ムー側からは「ムーはスーパーミステリー哲学マガジンだから」と、それ以上は反論がしにくい回答が返ってくる。「ムーは実際に取材に行くのですか?」といったまさかの質問が飛んだ時には最初は吹き出してしまったが、「取材に行くときはちゃんと行きます」との事だった。終始ムー側のペースで進行していったが、さすがはどんな話題にも科学(超科学)を絡める経験をしてきただけの事はある。

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(ちなみに何とこのニュートン会、第一回にして、ゲストにもう2名、『エヴァンゲリオン劇場版』の監督が加わってしまったため、文字にするにはさらに難しいイベントになってしまった。SF作品に分類される作品ではあるので超科学と親和性は高いと思いきや某フィールドにはまた違った分野の学問が取り入れられており、結局のところ三者三様となってしまった。)

ムーとニュートンだけに絞って話をまとめるのならば、エヴァの監督が仰った「ニュートンとムーの中間に僕の好きなものがある」といった言葉が核心を突いているかもしれない。

ムーは「楽しく」科学を描き、ニュートンは「分かりやすく」描く。そして、「自由に」ムーは科学を描き、ニュートンは「正しく」描く。もしかしたらたったこれだけの違いなのかもしれない、と今の私はこう結論づけている。

 

 

・理系×お笑い芸人=理系ナイト

こちらはつい先日。理系出身のお笑い芸人によるオールナイトトークイベント『理系ナイト』だ。これだけでなんとなく、想像がつくだろう。極端に言えば、理系ネタを絡めた、理系出身の芸人達によるお笑いライブだ。

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はじめて開催されたのは2年以上前。すでに8回目を迎える既に伝統あると言っても過言ではないイベントだ。はじめの頃は何人で始まったのかは分からないが、ここ数回は7、8人と多数の芸人が壇上に立つ。

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出演される芸人の中には知人も数名おりタイミングが合えば参加しようと思って1年以上たちようやく参加が出来た。24時開始という事もありどういう層が参加しているのか予想がついてなかったが、会場に入ってみて驚かされた。

興味深かったのは女性の割合だ。日本社会におけるいわゆる理系(文中では理工系だけでなく医療系学部等も指す)に存在する女性の割合は28%程度という中、この会場にいるのは8割以上が女性。そしてどうやらこれでも男性の割合が増えたという事だから驚きだ。理系男子はモテる、という事を確信めいて言える所まで来たのかもしれない。

三部に分けて開催されたこのトークイベントだが、構成がしっかりと作られており、素人が真似しようとしても出来ないものになっていた。サイコロトークで「学会」の話が出たり、教師兼芸人の方からは数学のリアル珍解答のネタが出たりとしっかりと理系エッセンスが組み込まれている。そしてちゃんと用語の解説がされており、少し分かりにくい科学ネタに関しては映像や実演がついてくる。

”重力レンズ”や”ジメチルスルホキシド”に下ネタが組合わさるお笑いライブは、今はここにしか存在しないだろう(これは、敢えて詳しくは触れないでおく)が、改めて科学とエンターテイメントとの親和性の高さを痛感したイベントであった。

 

 

・科学は学ぶだけのものではない

超科学と科学コラボレーション。そして、お笑いと科学のコラボレーション。
21世紀、これからもっともっと科学をテーマとした場は多様化していく。

科学の発展に知識を追いつかせるためには、ひたすら形式立てて覚えやすい順番で詰め込まされて来た。ひたすら”今、正しいとされるもの”だけを詰め込まされて来た。しかし、それだけで科学に人の欲望が満たされるとは言い難い。この欲望による反動が今回触れたような形式の場が増えているきっかけになっているはずだ。

これからはさらにもっと”自由に、楽しく科学に触れられる機会”が増えてくる事だろう。

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2015.08.01数学のお兄さん

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数学のお兄さん

横山明日希(@asunokibou) 数学のお兄さん。理系、恋愛、WEBの3本柱でイベント開催やコラム執筆など。キーワードは「日常に科学を、人生にワクワクを」「世の中のミスマッチをなくす」「掛け合わせればナンバーワンになる」 詳細プロフィールはこちら