今話題になっている理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター、小保方晴子氏のSTAP細胞の報道関連を見ていて感じた事を書こうと思います。
今回の報道のされ方に違和感を覚えた人は多いでしょう。しかし、違和感を覚えずそのまま受け止めてしまう人もいるのが現状でもあるのです。
もちろん僕はこの前者の人であり、報道のされ方に対しても言及したいとも思っております。ですが、今回はそこではなく、今後科学ニュース(特に何か発見された、結果が出たという類)を見るときに、読み手であるあなたはどこに注目して読めばもっと楽しく読むことができるのか、それを自分なりの意見ですがまとめて紹介していきます。
個人的にはこの3つに注目するとよいと思っています。
①研究的な意味で、どのような発展があったのか
②今回の成果がどう応用出来るのか
③成果を残した人(チーム)の研究動機、人物像を知る
①についてはぱっと見、少しわかりにくいかもしれませんが、それぞれ説明していきます。
①研究的な意味で、どのような発展があったのか
まず注目してほしいと思うのはこの点です。簡単に言うと、「世の中にどう役に立つのかを無視した成果」を指します。
研究という世界においては、「これがどう役に立つのかという視点を無視して(取っ払って)自分の興味に向き合えるか」という価値観が重要になるケースが多いです(もちろん、世の中に役立つものを作りたい、というモチベーションがある人も多いです。僕は基礎研究側の人間ではあったので、こちらの価値観が強い人間です)
同じ結果や結論が出る実験でも、その結果にたどり着くためのアプローチが全く異なっていたら、それは立派な成果となります。
今までAからBを作ることは不可能で、CからしかBを作れないとされていたが、AからBを作ってしまった!などですね。STAP細胞も体性幹細胞から万能性幹細胞を作ってしまった、という研究的発展があります。
②今回の成果がどう応用が出来るのか
続いてこちらです。この、応用だけの視点で科学の研究成果を見ようとするとつまらなくなるため、先に①を紹介した上でこちらについて触れます。
特に解説する必要はないと思いますが、やはりこの視点も大事。生物・医療分野の研究成果ならかなりこちらを想像することはしやすいですし、ニュース記事にもほぼ必ずといっていいくらい書いてあるでしょう。人の生活の何の役に立つのか、社会の何の役に立つのか、地球の何に役に立つのか…などです。
個人的には宇宙分野(最近ホーキング博士がこれまで考えられていたブラックホールは存在しない、という提言をしてましたね)や数学分野(比較的最近なのは望月教授のABC予想についてとか)の研究成果がどう応用されていくかを妄想するのは好きです(結局何も思いつかない事がほとんどですが)
③成果を残した人(チーム)の研究動機、人物像を知る
こちらについても最後に触れておきます。
今回の小保方氏のような人物像への取り上げ方は僕は好みません。ですが、実はこの視点で見ても、面白いものも見れたりするのです。
ぜひ、人物像を知るためには、その人物の論文やその論文概要を読んでください。論文(もしくは論文概要)に記載されている“今後の展望に関する記述”には、その人がなぜその研究をしていて、最終的にはどこを目指しているのかが意外と具体的に書かれています。そこを見る事で、今回の成果が彼ら彼女らにとって研究の道のどの地点の成果なのかを捉える事ができ、多少ではありますが彼ら彼女らの今の研究に対する心境を想像することができます。
◆まとめ
今回、3つほど科学ニュースを見る視点を紹介させて頂きましたが、すべてのニュースで3つとも見てほしいとは言いません。とくに①については僕も専門分野外のニュースとなると、なかなか理解するのに時間がかかります。ですが、研究的な発展の事実を知れた時のワクワク感はぜひ皆様にも味わってほしいので紹介しました。
最後に、総じていえる事として、科学分野だけでなくどんなニュースにおいても共通事項ではある「1つの報道だけで納得しないこと」を大切にしてほしいと思います。
読み手の姿勢が変わらない事には、書き手もどんどんその隙間を突いて伝え方を自分が伝えたいように捻じ曲げて報道していきます。
読み手がちゃんと読み解く視点を持つことが重要です。僕が紹介した3つの視点が、皆様の読み方のプラスの視点に繋がることを願っています。
書いている人のプロフィール

横山明日希(@asunokibou) 数学のお兄さん。理系、恋愛、WEBの3本柱でイベント開催やコラム執筆など。キーワードは「日常に科学を、人生にワクワクを」「世の中のミスマッチをなくす」「掛け合わせればナンバーワンになる」 詳細プロフィールはこちら